太平洋ビール館
太平洋ビール館
この建物は、この地域に数カ所残っている、鹿児島の近代建築の特徴の一つである石造倉庫群で米穀倉庫として使われていた。
この石造倉庫を地ビールの製造工場とビアレストランに改造することになり、ソフト面、ハード面双方からの計画に入り、
この歴史的建造物の特徴を失わないように再生し、なお、ビアレストランとして、
多数の人が訪れる楽しい場所として活用することを図った。
構造上の補強を石蔵の雰囲気を損なわないように工夫し、外壁に関しては開口等が不可能であったため、
排煙窓を兼ねたトップライトを屋根面に設け、天空光による採光をとった。
内部は倉庫として充分な階高があったので、木造による2階を新しく設け、内部に作られた仕込室の3基の仕込槽を見ながら、
楽しい語らいのできるビアレストランとして計画した。
最近の建築界の流れとして古い物を簡単に壊し、新設するという、いわゆる「スクラップ アンド ビルド」という姿が主流であるが、
このように歴史的に価値のある建物は可能な限り再生し、現代のニーズにあった活用をすることにより、
この地域の都市景観の形成に貢献できるのではないだろうか。
この建物が周辺石造群の活性化の指針になればと思う。
平成10年 第5回鹿児島市建築文化賞 特別賞受賞
D e t a i l
所在地:鹿児島県鹿児島市 用 途:飲食店 敷地面積:1,474.03㎡ 延べ面積:988.78㎡
構 造:木造2階(外壁は組石造) 撮 影:株式会社アイオイ・プロフォート